さいたま市浦和の会計事務所、中小企業の経営パートナー「税理士法人新日本経営」です。
定年延長や働き方の多様化に伴い、会社の退職金だけでなくiDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DCを併用する人が増えています。
退職金やDC一時金は、税法上「退職所得」として扱われます。長年の勤労に配慮して「退職所得控除」という、所得税の負担を減らすための手厚い控除が適用されます。
しかし、受け取る順番や期間によっては税負担が大きく変わるため、注意が必要です。

退職金を受け取る順番と期間に注意が必要?
退職所得控除は、会社への勤続年数やDC(確定拠出年金)の加入期間に応じて計算されます。複数の退職金を受け取る際に勤続年数・加入期間が重なっていると、同じ期間に対して控除を二重に受けてしまうことになります。
そこで、重複する期間に対応する控除額を2回目の計算から差し引く(排除する)仕組みが設けられています。
一方で、過去の受給から一定の年数が経過していれば、重複排除を行わずに双方で退職所得控除を満額利用できます。
退職金を受け取る順番によって、この「一定の年数」が変わるので注意が必要です。
① DC一時金を先に受取 ➔ 会社退職金: 前年以前 9年内 (令和8年改正)
DC一時金を先に受け取った場合、次の退職金受取までの間隔が「前年以前9年内」でなければ(10年以上空けば)、重複排除を受けずに双方で控除を満額適用できます。
(※改正前は「前年以前4年内」でなければ(5年以上空けば)、満額適用できました。)
② 会社退職金を先に受取 ➔ DC一時金: 前年以前 19年内
会社の退職金を先に受け取った場合、次の退職金受取までの間隔が「前年以前19年内」でなければ(20年以上空けば)、重複排除を受けずに双方で控除を満額適用できます。
一定年数を経過していない場合の計算
DC一時金を先に受け取った場合で、9年内に会社の退職金を受け取った場合、どうなるかを見てみましょう。
| 例)60歳でDC受取(加入期間10年)→65歳会社の退職金受取(勤続年数30年) ※DC加入期間10年と会社の勤続期間が重複している |
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本来の退職所得控除額:1,500万円(計算800万円+70万円×(30年-20年)) |
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重複期間の調整額:400万円(計算40万円×10年) |
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調整後の退職所得控除:1,100万円(1,500万円-400万円) |
この例の場合、退職所得控除額が本来の退職所得控除額から400万円少なくなってしまいます。
そのため、退職金の受け取る時期や順番について、事前に計画を立ててから受け取る必要があります。
まとめ
iDeCo(DC一時金)と会社の退職金をダブルで受給する場合、受け取る順番や間隔によって税金の負担(退職所得控除の額)が大きく変わります。
退職所得控除額を満額適用するには
• DCを先に受け取る場合は、会社の退職金まで「10年以上」空ける必要があります。
• 会社の退職金を先に受け取る場合は、DC受取まで「20年以上」空ける必要があります。
手元に残る老後資金を最大化するためにも、ご自身の加入期間や退職時期を確認し、計画的に受け取り時期を検討しましょう。
参照:No.2735 同じ年に2か所以上から退職手当等が支払われるとき|国税庁
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