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新日本経営コラム

~M&A特集 第1回~価格交渉のリアルと合意への道筋

相続・事業承継

いつも税理士法人新日本経営のコラムをご覧いただき、誠にありがとうございます。

このたび、新たに「M&A特集」と題し、M&A(企業の合併・買収)に関する情報を初心者でもわかるよう用意致しました。全4回を予定しております。

記念すべき第1回は、M&Aにおける価格交渉の実際や、交渉が合意に至るまでのプロセスについてご紹介いたします。

 

売り手と買い手、それぞれの思惑

M&Aの交渉において最初に立ちはだかる壁のひとつが、売り手と買い手の「価格のギャップ」です。

売り手は、長年育ててきた自社に対する思い入れもあり、高めの金額を希望する傾向があります。一方で、買い手は買収後のリスクや投資回収の見通しなどを考慮し、慎重な金額提示を行います。

そのため、交渉の初期段階では、希望額に大きな乖離があることが珍しくありません。

しかし、ここで重要なのは、お互いに「譲れないポイント」と「調整可能なポイント」を明確にし、対話を重ねていくことです。

合意できる価格のゾーンを探る

価格交渉は、単なる金額の駆け引きではありません。

双方が相手の事情や意向を理解しながら、現実的かつ納得感のある「合意できる価格のゾーン(妥結帯)」を見つけていく作業です。

このゾーンにたどり着くためには、互いの情報開示や信頼関係の構築が不可欠です。場合によっては、第三者のアドバイザーを交えて調整を図ることもあります。

そして、価格面で合意に達した後は、より詳細な条件のすり合わせへと進んでいきます。

 

条件交渉の焦点は「人」と「関係性」

M&Aにおいて、価格だけが交渉のテーマではありません。とりわけ日本の中小企業M&Aでは、売り手側が「従業員の雇用を守ってほしい」と希望するケースが非常に多く見られます。

これは、売却後も企業文化や職場環境を維持し、従業員の生活を守りたいという経営者の強い思いが背景にあります。

昨今の人手不足もあり、買い手側としても「従業員が実際に残ってくれるのか?」という点は重大な関心事です。

このような背景をふまえ、雇用条件や職場環境の維持方針について、事前にしっかり確認し、誤解のないよう取り決めを行うことが、M&A成功の鍵を握ります。

 

買い手側が重視する「持続可能性」

一方、買い手側が注目するのは、「その会社が今後も価値を生み続けられるかどうか」という視点です。

たとえば、「技術やノウハウがきちんと承継されるのか」「オーナーやキーパーソンが一定期間関与してくれるのか」「主要取引先との関係性が維持できるのか」といった具体的な要素が重要となります。

こうした要素は、財務諸表では見えにくい「無形の資産」であり、M&A後の成否に直結します。

だからこそ、買い手はデューデリジェンス(精査)を通じてこれらを慎重に確認し、基本合意前にしっかりと方向性を固めておく必要があります。

 

おわりに

M&Aの交渉は、一筋縄ではいきません。価格、条件、人的要素、事業の将来性など、さまざまな側面をすり合わせながら、ようやく一つの「合意」にたどり着きます。

そこには、数字では測れない人と人との信頼や、想いの交錯があるのです。

 

第2回目のコラムでは、「日本国内におけるM&A件数の推移」について詳しく取り上げる予定です。今後も実践的で役立つ情報をお届けしてまいりますので、ぜひご期待ください。

 


◆第1回:~M&A特集 第1回~価格交渉のリアルと合意への道筋

◆第2回:~M&A特集 第2回~2024年のM&A市場は過去最高に|これからの経営に「M&A」という選択肢を

◆第3回:coming soon

◆第4回:coming soon


 

尚、新日本経営で令和7年6月14日13:30~M&Aに関するセミナーを開催予定です。ご興味のある方は是非参加をお願い致します。

セミナーの案内はこちら>>>WEBセミナー『戦略的M&A活用法/M&Aで広げるコングロマリット経営』

 

 

 

 

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