さいたま市浦和の会計事務所、中小企業の経営パートナー「税理士法人新日本経営」です。
役員へ支払う報酬のうち、届出を行うと毎月一定額の給与の他にも役員報酬の支給が可能となります。
従業員へ賞与を支給する際、「自分にも賞与が出せるか?」と考える社長も多いのではないでしょうか。
『事前確定届出給与に関する届出』を行うことで損金算入が可能となり、役員自身の給与が増えるほか、法人としては税負担を抑えることができます。
ただし、この事前確定届出給与は注意が必要です。
届出の金額と支給額に相違あり→支給額全額が損金不算入
事前確定届出給与として損金算入できるかどうかを巡り争われた事件があり、東京地方裁判所は原告の請求を棄却しました。(令和4年(行ウ)第566号、令和6年2月21日判決)
内容としては、届出額よりも実際の支給額が少なかったため支給額全額が損金と認めなかった、というものです。
損金にできないことを損金不算入と言いますが、つまりは会社からお金は流出するけれど、税金計算の費用として認められないということです。資金流出、税負担増と会社の損失としては大きくなります。
また、今回のケースでは「届出をした金額との差額は未払の状態に過ぎない」と主張がありましたが、未払も認められないという見解が示されました。
事前確定届出給与は株主総会の決議をもって届出を行った通りに支給を行う必要がある、ということが改めて裁判で示される形となりました。
事前確定届出給与についてはこちらの記事もあわせてご参考ください>>>「役員にも賞与を!「事前確定届出給与」について 」
なぜ役員は従業員と異なり給与についてルールがあるのか
決算間際、業績がよい場合は納税額がいくらになるのかと気がかりかと思います。
その際、もし役員報酬を無制限に損金算入できるとすると、役員報酬つまりは経費を増やすことで法人の利益を少なくし、法人税額を抑えるということができてしまいます。
そうなると課税の公平性が保てなくなるため、役員報酬にはルールが多いのです。
役員報酬についてはこちらの記事もあわせてご参考ください>>>「役員報酬の決め方にはルールがある」
参考:国税庁「C1-23 事前確定届出給与に関する届出」
まとめ
事前確定届出給与に関する税務訴訟は少ないため貴重な判例となりました。
この該当法人は東京高裁に控訴しており、今後の動向に注視したいところです。
事前確定届出給与は支給日に注意し、届出を行った全額を支払う必要があります。少しぐらい違くても…という甘い考えは持たないようにしましょう。
支給日を忘れそうと思う方は賞与と考えるのではなく、毎月の給与を一定にした方がよいでしょう。
またこの事前確定届出給与は利益を見越して届出を行う必要があるので、顧問税理士ともよく相談するのがおすすめです。
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