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少額減価償却資産の特例、適用要件を再確認しよう

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さいたま市浦和の会計事務所、中小企業の経営パートナー「税理士法人新日本経営」です。

 

会社でパソコンや機器を買ったとき、「30万円未満なら一括で経費にできる」と聞いたことはありませんか?

この制度は「少額減価償却資産の特例」と呼ばれます。

ただし最近では、適用できる会社や対象となる資産に細かい条件が増えており、昔の知識のままだと誤った処理をしてしまう恐れもあります。

今回は、この少額特例について、「誰が」「いつ」「何に対して」使えるのかをわかりやすく整理してみました。

適用対象法人の見直し:平均所得金額に注意

従来は「資本金1億円以下の中小企業者」であれば一律に適用可能でしたが、現在では、直前3事業年度(「基準年度」)の平均所得金額が15億円を超える法人は、たとえ資本金1億円以下でも適用除外とされます。

この「平均所得金額」の計算では、各年度の所得金額を繰越欠損金控除後の金額で判断します。基準年度のうち欠損が出た事業年度がある場合、その年度の所得金額は「0円」として扱います。

さらに注意が必要なのは、「欠損金の繰戻還付」があったケースです。この場合、繰戻還付に使用された欠損金は、他年度の所得金額から控除されないため、基準年度の平均所得額を押し上げる可能性があります。

このため、繰戻還付の計算の基礎となった欠損金額を、基準年度の所得金額から控除する調整が必要です。

 

従業員数の要件:「常時使用」は正社員だけではない

資本金1億円以下という条件に加え、常時使用する従業員数が500人以下という要件もあります。

この「常時使用」には、雇用形態を問わず、事業所に継続して勤務している役員以外のすべての従業員が含まれます。

したがって、パートタイマーやアルバイトも対象に含めてカウントする必要があります。

また、判定のタイミングについては、原則として資産の取得日または事業供用日とされていますが、実務負担への配慮から、その事業年度末日の従業員数で判定することも可能です。

 

資本金の判定タイミングと注意点

従業員数と異なり、資本金の1億円以下という条件は、取得日および事業供用日の現況で判断する必要があります。

途中で増資や減資が行われた場合、その前後で少額特例の適用可否が変わる可能性があるため、取得タイミングとの関係には注意が必要です。

 

貸付用資産は原則適用除外、ただし…

少額特例では、取得した減価償却資産を貸付に供する場合、原則としてその資産は適用対象外とされます。

これは、節税目的で資産を一時的に貸し出すようなケースを防ぐ趣旨です。

しかし例外もあります。たとえば、リース会社などのように、継続的に自己の経営資源を活用して貸付事業を行っている場合には、貸付用資産であっても少額特例の対象になり得ます。

ここでいう「経営資源」とは、貸付以外の事業用設備や、従業員の持つ技能・知識などが該当します。

注意点として、租税に関する知識などはここでいう経営資源には含まれません。

また、貸付が会社の主たる事業である必要はありません。収益規模が小さくても、継続的に自社の経営資源を用いて行っている事業であれば、特例の適用対象とされる可能性があります。

 

まとめ

少額減価償却資産の特例は、中小企業の設備投資にとって非常に使いやすい制度です。ただし、ここ数年の税制改正によって、「どんな会社が使えるか」「どの資産が対象になるか」といったルールが細かく定められるようになっています。

特に注意したいのは、

〇平均所得の計算と欠損金がある場合の扱い
〇従業員数のカウント方法と判定タイミング
〇貸付用資産が対象外となるケースと例外の考え方
など、見落としやすいポイントが多いことです。

一度しっかりと現行ルールを確認しておけば、迷わず正しく処理できるようになります。経理・会計の現場では頻出するテーマですので、今のうちに整理しておきましょう。

 

参考:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁

 

 

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