さいたま市浦和の会計事務所、中小企業の経営パートナー「税理士法人新日本経営」です。
最近、会社の後継者不足が問題になっています。
時々お客様から、後継者がいないので会社が継続できない、事業を終わらせたいがどういった手続きをするのか?というご質問を受けることがあります。
事業の取引をやめただけでは、会社そのものが無くなるということにはなりません。会社を完全に無くすためには、色々な手続きが必要です。
今回は、法人の解散と清算の手続きについて解説します。
解散と清算とは?
事業を承継する人がいない場合、業績が悪化している場合など会社を解散して完全に無くしたいというケースがあると思います。「会社をたたむ」というと分かりやすいかもしれません。
会社=法人格を消滅するには、解散と清算の2段階の手続きが必要です。
法人の解散とは、事業活動を停止し、法人格を消滅させるための手続きです。
会社の清算とは、解散した後に、資産や負債を整理し、債権者への弁済や残余財産の分配を行う手続きです。
順番に確認していきましょう。
法人の解散
法人の解散とは、事業活動を停止し、法人格を消滅させるための手続きです。
法人の解散の事由には次のような場合があります。(会社法第8章471、472、条)
法人の解散事由 |
①定款で定めた存続期間の満了 ②定款で定めた解散事由の発生 ③株主総会の特別決議 ④合併(合併により消滅する場合に限る) ⑤破産手続開始の決定 ⑥裁判所から解散を命じられた ⑦休眠会社のみなし解散 |
定款に特に記載がなければ、株主総会での決議により解散することとなります。
解散後は、法務局へ解散の登記と、官報に解散公告を載せることが必要です。官報に解散広告を載せる期間ですが、債権者保護の目的から、2か月間と決まっています。
⑦休眠会社のみなし解散とは、12年、役員登記をしていない会社のことです。株式会社は最低でも10年に1度、役員変更の登記が必要で、12年、役員変更登記をしない場合は解散したとみなされますので注意が必要です。
詳しくは法務省のHPにご案内がありますので参照してください。
令和6年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について|法務省
法人の清算
法人の清算とは、解散後、法人の債権の回収、債務の支払いなどを行い、財産の整理をして、残余財産を株主へ分配する手続きです。
債務弁済後に財産が残る場合は、株主に残余財産を分配しますが、株主が出資した金額以上に財産を配分された場合、その財産は配当とみなされます。(みなし配当)
みなし配当には所得税がかかるので注意が必要です。
また、清算手続きには2つの方法があります。
通常清算:債権の回収などにより全額債務の支払いが可能な場合
特別清算:資産より負債が上回っている債務超過により、債務の支払いが不可能な場合で、いわゆる倒産手続きのことです。裁判所の監督下において行われます。
今回は通常清算の場合について簡易的にご案内します。
通常清算のスケジュール
まず、スケジュールを確認しましょう。
株主総会にて解散の決議
特別の決議が必要です。過半数の株を持つ株主が出席し、その議決権の3分の2以上の賛成が必要となります。
同時に、会社解散後の清算手続きを実行する清算人を選任します。(清算人は弁護士なども可)
解散、清算人の登記
解散の日から2週間以内に法務局で登記をしましょう。
定款、株主総会議事録などが必要です。
登記完了後に各機関へ諸々の届け出
税務関係:税務署、都道府県税事務所、市区町村役場、
社会保険関係:年金事務所、健康保険組合、ハローワーク、労働基準監督署
清算人は、解散日の財産目録、貸借対照表を作成
税務署へ、事業年度開始日から解散日までの解散確定申告書を提出します。
期限は、解散の日の翌日から2か月以内です。株主総会の承認も必要です。
債権者に対する公告
債権者保護手続きのため、官報への公告と個別のお知らせが必要です。
官報は解散の翌日から記載されるように事前に手続きするとよいでしょう。
資産の現金化、債務弁済、残余財産の確定と分配
清算人が債権を回収、官報公告終了後に確定した債権者へ債務を支払い以降、残った財産を株主へ分配(みなし配当)します。
税務署へ清算確定申告書を提出
残余財産確定の日の翌日から1か月以内に、清算確定申告書を提出します。
株主総会の承認が必要です。
※清算中は解散日の翌日から事業年度ごとに確定申告書の提出が必要です。
清算結了の登記を行う
清算事務報告の承認後、2週間以内に登記をしましょう。
これで法人格が消滅しました。
最後に、登記完了後に各機関へ清算結了の届け出を忘れずにおこないましょう。
税務署、都道府県税事務所、市区町村役場へ届出をおこないます。
また、帳簿書類の保存が10年間必要ですので、大切に保管しましょう。
精算結了までの費用ついて
解散と清算の手続きに必要な費用は、一般的に約50万円前後かかると想定しましょう。
内訳としては、登録免許税、官報公告費用、弁護士や司法書士、税理士への報酬などがあります。
まとめ
〇法人の解散とは、事業活動を停止し、法人格を消滅させるための手続き。解散だけでは法人格は消滅しない。
〇会社の清算とは、解散した後に、資産や負債を整理し、債権者への弁済や残余財産の分配を行う手続きです。清算結了後に法人格が消滅します。
〇解散から2か月後に、清算の手続きを開始するので、スケジュールを組むことが必須となります。
〇各種届出書や、登記、官報への公告が必要となるので、注意しましょう。
以上が、簡易的ではありますが、法人の解散と清算の流れです。
会社によって様々な事情があるので、清算までの道のりがかなり長いケースもあると思われます。事前に計画を立て、届出や登記の漏れがないように注意したいところですね。
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