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新日本経営コラム

年末調整・確定申告で忘れがちな「地震保険料控除」の基本と注意

年末調整

さいたま市浦和の会計事務所、中小企業の経営パートナー「税理士法人新日本経営」です。

 

地震に備えて地震保険に加入している方は、所得税や個人住民税の所得から控除できる「地震保険料控除」を活用していますか。

この制度は、平成19年分の確定申告から、従来の損害保険料控除に代わって設けられたものです。

地震リスクに対する自助努力を税制面から後押しする仕組みとして、現在も重要な役割を担っています。

地震保険料控除の対象となる保険契約

控除の対象となるのは、納税者本人または生計を一にする配偶者・親族が所有する「居住用」の建物や家財を補償する地震保険契約です。

ポイントは「常時居住の用に供しているかどうか」です。そのため、別荘や投資用不動産などは原則として対象外となります。

店舗併用住宅など、居住用と事業用が混在している場合は、居住用部分のみが控除対象です。

保険証券等に区分が明示されていない場合には、一定の算式により居住用部分を按分して計算しますが、建物全体のおおむね90%以上が居住用であれば、全額を居住用として扱うことも可能とされています。

参考:No.1145 地震保険料控除|国税庁

 

控除できる金額はいくら?

では、控除できる金額はいくらなのでしょうか。

所得税

当年中に支払った地震保険料の全額が控除対象となり、上限は50,000円です。
旧長期損害保険料がある場合は、一定の計算方法により最大15,000円まで控除でき、地震保険料控除と合わせて合計50,000円が上限となります。

個人住民税

支払った地震保険料の1/2が控除対象で、上限は25,000円です。
こちらも旧長期損害保険料がある場合は合算して上限25,000円となります。

 

控除する際の注意点

活用する場合の注意点も確認しておきましょう。

複数年分を一括払いした場合

地震保険料を複数年分まとめて支払っている場合でも、控除できるのはその年に対応する保険料分のみです。
例えば、5年分で100,000円を一括払いした場合、1年あたり20,000円が各年の控除対象となります。

火災保険料は対象にならない

地震保険は、原則として火災保険とセットで加入しますが、控除の対象となるのは「地震保険料部分のみ」です。
意外と勘違いされている方が多い点ですが、火災保険料は地震保険料控除の対象にはなりませんので注意しましょう。

名義と支払者の確認

地震保険料控除を受けられるのは、実際に保険料を支払った人です。
例えば、建物の名義が妻であっても、保険料を納税者本人である旦那が支払っていれば、旦那本人の控除として申告できます。

年末調整で出し忘れた場合

年末調整で地震保険料控除を申告し忘れた場合でも、ご自身で確定申告を行えば控除を受けることが可能です。

 

年末調整・確定申告での手続き

給与所得者が年末調整で控除を受ける場合は、「給与所得者の保険料控除申告書」に、保険会社から届く保険料控除証明書を添付または提示します。

保険料控除証明書を電子データ(XML形式)で受け取り、勤務先に電子データを提出する企業も増えているのではないでしょうか。

控除証明書を電子データで取得しても、勤務先が書面での提出を求められたら、QRコード付き証明書作成システムで書面を出力して提出することができます。

もし、ご自身で確定申告をする場合は、マイナポータル連携を利用することで、対応している保険会社の控除証明書データを一括取得し、申告書へ自動入力することができます。事前の設定が必要となるため、早めに確認しておくと安心です。

参考:控除証明書等の電子的交付について|国税庁

 

まとめ

地震保険料控除は、地震への備えを行っている方にとって、確実に活用したい所得控除のひとつです。

◎控除の対象は「居住用」の建物・家財にかかる地震保険料のみ
◎火災保険料は対象外
◎複数年分を一括払いしている場合は年分按分が必要
◎年末調整で忘れても、確定申告で対応可能

といった点を押さえておくことで、申告ミスや控除漏れを防ぐことができます。

保険の契約内容や建物の利用状況によって判断が分かれるケースもあるため、不明な点がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

 

 

 

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