さいたま市浦和の会計事務所、中小企業の経営パートナー「税理士法人新日本経営」です。
2025年6月24日、総務省は「ふるさと納税の指定基準の見直し等」を公表しました。
制度開始以来10年以上が経過し、寄附額や参加自治体は大幅に拡大しましたが、その一方で返礼品の適正性や経費の妥当性を巡る議論は続いてきました。
今回の改正は、制度の透明性と公平性を高めることを目的とするものであり、適用は2026年10月からとなります。
このコラムでは見直し内容を確認します。
「広報目的基準」の明確化
改正前
これまで「ご当地キャラクターグッズ」など、広報を目的とする返礼品は例外的に区域外で生産されるケースも認められていました。
しかし一部では「自治体のロゴを付けただけの商品」も出てきて問題となっていました。
改正後
1.直近1年間において、地方団体が、広報の目的で自ら調達・配布・販売を行った実績があり、かつ、指定対象期間における返礼品提供数がその配布・販売の実績数量を超えないこと。
2.指定対象期間において、地方団体が、当該対象品目を広報の目的で自ら調達・配布・販売する計画を定めていること。
改正後は、自治体が実際に広報活動で使用している実績や計画があるかどうかが判断基準になります。つまり、「名ばかり広報品」は今後認められにくくなるということです。
「付加価値基準」における算出方法の明確化
改正前
付加価値の算定方法は自治体ごとに異なり、同一製品が複数の自治体で「地元産」と主張される例もありました。
改正後
・付加価値割合の算出方法について、価格に基づく算出を原則とする。
・製造者が「価値の過半が区域内で生じた」ことを証明することが求められます。
この証明事項は返礼品提供開始前に自治体によって公表されることにより透明性が強化されます。
返礼品等の調達費用の妥当性確保
改正前
市場価格を大きく上回る調達事例が確認されてきました。
改正後
・返礼品を製造・加工する事業者は、当該返礼品の「価値の過半が区域内で生じた」ことを証明しなければなりません。
・一般販売価格も併せて証明書に記載することとし、それらの内容を公表します。
・返礼品等の調達費用について、「合理的な理由なく、一般販売価格より高額で調達することがないようにすること」を別途通知予定。
これにより、合理的理由なく高額で調達する行為は抑制されます。
募集費用の透明性の向上
背景
ふるさと納税は年々拡大を続け、返礼品の調達費用に加え、ポータルサイト事業者に支払う手数料などの募集関連経費はすでに5千億円を超えています。
こうした状況を踏まえ、令和7年の通常国会・参議院総務委員会では、自治体がポータルサイトに支払う手数料の増加が制度本来の趣旨を損ねる恐れがあるとして、不適切な運用がないか調査するよう求める決議がなされました。
改正内容
更なる透明化促進に向けて、地方団体が「1支払先あたり100万円以上」の募集費用について、その支払先・支払額・支払目的を公表します。
返礼品確認事務の効率化
背景
返礼品確認件数は100万件を超え、自治体から事務負担軽減の要望が出されていました。
改正内容
・手続きの簡素化:過去に基準不適合がなかった自治体については、一部書類の提出が不要となり、返礼品の事前確認も省略されます。
これにより事務負担が軽減され、返礼品提供が円滑化します。
・監視体制の強化:総務省は一部自治体を対象に抽出調査を行うとともに、基準適合性に疑義のある返礼品を受け付ける通報窓口を設置し、監視を強化します。
まとめ
今回の改正は、寄附者の「地域を応援したい」という思いを正しく制度に反映させるための措置であり、自治体にとっては事務負担軽減の利点がある一方、返礼品の選定や経費管理は一層厳格さを求められます。
ふるさと納税制度は今後も進化を続け、寄附者・自治体・事業者の三者にとって利益をもたらす仕組みづくりが課題となるのではないでしょうか。
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