さいたま市浦和の会計事務所、中小企業の経営パートナー「税理士法人新日本経営」です。
法定調書の提出枚数は何枚ですか?2027年(令和9年)の提出枚数次第では、法定調書の電子申告に関する基準変更により、多くの企業や事業者に影響を与えるかもしれません。
この記事では、法定調書の基本から変更点、判定方法、注意点、電子申告の具体的な手続きまで詳しく解説します。
法定調書とは?
法定調書とは、事業者が一定の支払いや取引について税務署に報告するための書類です。
所得税法や法人税法に基づき、給与や報酬、配当、不動産賃貸料などの支払いを行った際に作成し、税務署へ提出する義務があります。
主な法定調書の種類
・給与所得の源泉徴収票(給与を支払った場合)
・退職所得の源泉徴収票
・報酬・料金・契約金の支払調書(フリーランスや個人事業主への支払い)
・不動産の使用料等の支払調書(賃貸借契約など)
・配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書(株主や投資家への支払い)
これらの調書は、税務署と受給者(従業員・取引先)へ適切に提供される必要があります。
基準の変更とは
今回の変更では、電子申告の義務化が拡大され、一定の基準を満たす事業者は法定調書をe-TaxやCD・DVDなどの光ディスク等で提出する必要があります。具体的な変更点は以下の通りです。
電子申告義務の適用範囲の拡大
前々年(2年前)100枚以上の法定調書を提出する事業者が対象でしたが、 2027年1月以降の提出分からは30枚以上の法定調書を提出する事業者の電子申告が義務化されます。
基準が前々年ですから、例えば2025年の提出枚数が110枚であれば、2027年は電子申告による提出が義務となります。
提出枚数が引き下げられた30枚基準を確認するのは2027年です。例えば2027年に50枚の提出だった場合は、2029年が電子申告の提出義務者となります。
出典:e-Tax等による法定調書の提出が義務化されています|国税庁
紙での提出が制限
電子申告の対象となったにもかかわらず、100枚以上の法定調書を紙で提出すると無効扱いになる恐れがありますので注意しましょう。
この変更により、多くの中小企業や個人事業主が新たに電子申告の準備をする必要が出てくるでしょう。
判定基準が前々年となっているのは、電子申告をする年までに電子申告の準備を進めましょうという期間の意味合いがあります。
電子申告義務の判定方法
電子申告が義務となるかどうかは、 法定調書の提出枚数 によって決まります。
前々年に提出した法定調書の枚数によって判定します。
例えば、 2025年(令和7年)に提出した法定調書が100枚以上なら、2027年(令和9年)分から電子申告が義務化されます。
詳しくは下記イラストで判定基準と電子申告の提出義務者となる年を確認しましょう。
出典:e-Tax等による法定調書の提出が義務化されています|国税庁
また、法定調書の種類ごとの提出枚数でも判定します。
前提条件:判定基準2027年/電子申告義務年2029年/判定枚数30枚 |
例えば「給与所得の源泉徴収票」を60枚の法定調書を提出しているほかに、20枚の「報酬等の支払調書」を提出していたとしても、「報酬等の支払調書」は電子申告の提出義務とはなりません。
また、複数の支店を持っていてそれぞれ管轄する税務署が違う場合を想定します。
「給与所得等の源泉徴収票」をA支店は60枚、B支店は20枚提出しました。この場合、A支店のみが電子申告の提出義務対象となります。
全社全体で見ると合計80枚となり、30枚を超えるため電子申告の提出義務者対象となると思いがちですが、管轄する税務署が違う=提出義務者ごとに判定するためA支店のみが電子申告の提出義務者となります。
参考:e-Tax又は光ディスク等による法定調書の提出義務|質疑応答事例|国税庁
基準変更による注意点
e-Taxの準備不足による遅延リスク
電子申告には 国税庁が運営しているe-Taxを利用します。利用のためには利用者識別番号の取得や電子証明書の準備が必要です。
提出期限ギリギリに準備すると間に合わない可能性があるため、早めの対応が重要です。
対象事業者が増加する
2027年の判定基準枚数が30枚となるため、従業員が少ない企業も2029年は電子申告の提出義務者となる可能性があります。
例えば、給与所得の源泉徴収票はパートやアルバイトの雇用が多い事業では、入れ替わりにより提出する枚数と実際の従業員数の相違が起こると想定されるため注意しましょう。
まとめと今後の対応
法定調書の電子申告義務の対象が拡大され、多くの企業や事業者が対応を求められます。
今後、2027年(令和9年)に対応が必要かどうか事前に判定基準を確認し、e-Taxの環境を整えておくことが重要です。
対応のポイントとしては、
〇前々年(2025年)の法定調書の提出枚数を確認
〇対象なら電子申告の準備を早めに進める
〇e-Taxの操作を事前に試しておく
今後も税務手続きのデジタル化が進むことが予想されるため、早めの対応を心がけましょう。
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