いつも税理士法人新日本経営のコラムをご覧いただき、誠にありがとうございます。
「地域コングロマリット経営」シリーズ第5回目【最終回】です。
第1回目は<こちら> 第2回目は<こちら> 第3回目は<こちら> 第4回目は<こちら>
いよいよこのシリーズも最終回です。
前回のコラムでは第二本業化で成長を加速させるにはどのように進めていけば良いかについてでした。
今回は、既存事業と第二本業とではどのような組み合わせが考えられるのか地域コングロマリット経営の戦略モデルを見ていきます。
戦略モデルには5つの戦略類型があります。
戦略モデル①異業種混合型
既存の事業とは全く異なる業種に参入する戦略です。
不動産業種から飲食業、エンターテインメント事業から観光事業など事業展開は多種多様で、経営環境の変化にもリスクヘッジできる点がメリットです。
一方、企業にとって全くの新規事業であるため既存事業の経営資源を転用しづらいのがデメリットです。
戦略モデル②客層特化型
第一本業を軸にそこに関連する商品やサービスを扱う事業を作っていき、これまで販売していた商品やサービスについて、その購入前後にも顧客と接する機会を設けることで、購入単価を上げたり、LTV(ライフタイムバリュー・顧客生涯価値)を引き上げられるようにしたりする戦略です。
別の表現をすれば、同じものを扱いながら、それに対する関わり方を増やしていくのが客層特化型です。
事業イメージがしやすく、関連する事業であるためにすでに何かしらの形で顧客と接点があるでしょう。
また、顧客が見えているということです。既存顧客がターゲットとなるため新規開拓をする必要がほとんどないという点がメリットです。
一方、既存顧客をターゲットとする以上、取引数の拡大が多くなく始めやすいが伸ばしにくいため事業が小粒になりやすい点がデメリットです。
戦略モデル③事業ドメイン特化型
既存事業と同じ業種の中で、ニーズの異なる顧客を取り込んでいく戦略です。
同じ業種という意味では、客層特化型と似たところがあるが、基本的に既存の顧客ではなく、新規顧客を対象にする点で異なります。
事業ドメイン特化型は、客層特化型と似ていて、事業イメージが湧きやすく、また顧客像もイメージしやすい点がメリットです。
加えて、新規顧客の獲得が期待でき、客層特化型よりも比較的大きなマーケットに進出しやすいでしょう。
一方、顧客がA事業を選べばB事業は選ばないということになりやすいです。いわゆる、カニバリゼーション(共食い)状態となってグループ全体ではあまり売上に好影響がない可能性がある点がデメリットです。
戦略モデル④サプライチェーン統合型
品・サービスの製造や供給など、一連の流れを踏まえて事業を展開していく広げ方のことを言います。
卸売業の企業が小売業に参入するなど、調達、製造、流通、販売といった商流の中で、川上や川下へと事業を増やしていく戦略です。
サプライチェーン統合型では、既存事業で得られるノウハウが新規事業に活きてきます。
反対に、新規事業で得られるノウハウが既存事業に活かされ、品質を上げたり、顧客獲得につながることもあるでしょう。さらには、事業を付加してそのサプライチェーンに占める部分が長ければ長いほど、コスト削減と利益率向上に期待ができます。
一方、他の戦略類型よりも競合とバッティングする可能性が高いことに留意しましょう。
戦略モデル⑤機能スピンアウト型
既存事業や社内システムの中にあった機能を抽出して、それを他社へ販売していく戦略です。
フランチャイズ本部もこれに該当します。自社の店舗経営ノウハウを磨き上げて、再現性の高いものにパッケージ化して他社へ提供していく考え方です。
すでにある機能を用いて事業化するという意味では、新しいものを取り入れる必要はほとんどなく、スタートしやすいと言えるでしょう。
特に間接部門は直接の利益を生まないものですが、これが利益を生むようになることはマイナスをプラスに変えるという点で大きなメリットになります。
まとめ
この最終回では、地域コングロマリット経営の戦略モデルを5つ紹介しました。
新規事業への参入にあたって、「何をやるのか」「誰がやるのか」「どのようにやるのか」などの課題があり、ビジネスモデル(情報・モノ)、人材(ヒト)、資金(カネ)の調達力が成否を分けることになるでしょう。いかに適切なビジネスモデルを仕入れられるか、人材を採用できるか、資金を用意できるかで成長力を左右します。
事業の柱を増やしていきたいと考えている経営者は、今の会社の状況を把握しどのモデルに合うかイメージしてみてはいかがでしょうか。
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また、このセミナーにご参加いただき、M&Aを決断された経営者もいます。
経営者の皆様にとって少しでもお役に立てる情報になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
◆第1回:地域コングロマリット経営|逆風の時代を生き抜くために
◆第4回:地域コングロマリット経営|第二本業化で成長を加速させる
◆第5回:地域コングロマリット経営|既存事業と第二本業の戦略モデル
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