さいたま市浦和の会計事務所。中小企業の経営パートナー「税理士法人新日本経営」です。
御社の試算表で「現金」はいくらになっていますか?
その表記されている現金は実際にお手元にありますか?それとも、そんなに現金は手元にないというくらい多額の現金が帳簿に計上されていますか?
そのような状態は問題が数多くありますので注意が必要です。
なぜ現金勘定は増えるのか
手元にある現金よりも、帳簿上に現金が多くなってしまう原因でもっとも多いのはこちらです。
「預金から現金を下ろす」
→①買い物をしても領収書をもらい忘れる、なくす
→②私用で使ってしまう
心当たりはありませんか?
① 買い物をしても領収書をもらい忘れる、なくす
きちんと経費として現金で支払っても領収書をもらい忘れたり、なくしてしまうと証拠となるものがありませんので、会計上処理ができません。帳簿上の現金は減りません。
しかし、領収書をもらい忘れたり、なくしてしまった場合は出金伝票等で日時や購入内容、お打合せでしたら打合せ内容などきちんと書くことで、経費と認められます。
② 私用で使ってしまう
社長が個人的に使ってしまうパターンです。
中小企業の場合、社長自身が預金から現金を引き出すことも多いでしょうし、会社のお金と個人のお金をきちんと区別していないことも多いため使ってしまうことがあります。
私用ですから、領収書があっても会社の経費とはなりませんので、帳簿上の現金は残り続けることになります。
現金勘定が増えると何が問題になるのか
では、現金勘定が増えることはどういった問題になるのか、何に影響があるのか解説します。
税務調査で指摘される
帳簿上、現金が多額ですと税務調査の際、問われることは多くなるでしょう。
「数えてもいいですか?」と相談されるかもしれません。しかし、実際にはない現金ですから、説明を求められます。
もし、社長が私用で使ってしまったという事になると、社長も会社も痛手を負うことになります。
社長が使ったという事は「会社が社長にお金を貸した」=「役員貸付金」となります。
会社が金銭を貸付けると利息を計上しなければならず、会社が利息を受け取っていないと貸付金が増えていきます。そして、利息は法人税の対象となりますので税金が増えることになります。
参考:国税庁「No.2606 金銭を貸し付けたとき」
また、役員貸付金が長期にわたり解消できずにいると、役員に対する賞与とみなされることもあります。
社長への賞与は経費になりません。しかし、社長はもらったことになりますので所得税が課税されます。
会社も社長も良いことはありません。
役員賞与を経費にするにはこちらご覧ください>>>「役員にも賞与を!「事前確定届出給与」について」
銀行の借入がしづらくなる
金融機関で融資を申込む場合は決算書や試算表を提出することがほとんどですので、現金勘定の多さは目を引きますし、審査に大きく影響するでしょう。
金融機関はこれほど現金は残っていないと経験上、判断をして、金融機関側で数字を置き換え、本来の財務状態の状態を見ます。
つまり、現金勘定がなくなりますので、資産が減り損失が増えることになります。
そうなると融資額にも影響してくるでしょうし、信用評価も下がるでしょう。
現金勘定を増やさない対策を
こうならないための対策を考えましょう。
事業に使う分だけ預金から下ろして使用するなどルールを決めるのも大事ですが、それよりも「現金出納帳」をつくることをおすすめします。
初めは簡単なおこづかい帳のようなイメージでも構わないので、現金が増えた・使ったを記していきましょう。
きちんと記すことで、正しく現金勘定が計上できますし、お金を管理する意識づけのためにもおすすめです。
現金出納帳について>>>「現金の入出金は現金出納帳に記録する理由と書き方について」
もしくは、キャッシュレスが進んでいるので現金を使用しないという方法もあります。
法人のクレジットカードを作成して、支払はカードで済ませます。
インターネットバンキングをあわせて利用すれば、預金口座の入出金もすぐに分かりますので、より管理しやすくなるではないでしょうか。
まとめ
現金勘定が増えていくことの問題点についてはご理解いただけましたか。
会社にとっても社長にとっても良いことはありませんので、もし、現在現金勘定が思ったよりも残っているという社長は早めに顧問税理士と相談してください。
いざ融資を受けたいときや、突然税務調査の連絡があってからではすぐに対応ができません。
事業を運営していく上では、売上や利益も大切ですがお金を管理するという意識も持ちましょう。
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