さいたま市浦和の会計事務所、中小企業の経営パートナー「税理士法人新日本経営」です。
最近、顧問先様に「どのようなお悩みがありますか?」と伺うと、ほとんどの方が「人材」と答えます。
他社と同水準まで賃上げできない、せっかく入社してもすぐに辞められてしまう、費用をかけて求人を行っているのにそもそも応募がこない等々…
求職者優位の売り手市場の現在では、採用を成功させるために様々な工夫が求められます。
今回は会計事務所が、税金の面からお勧めする人材確保・定着のための一つの手段として「奨学金返還支援(代理返還)制度」をご紹介します。
奨学金返還支援(代理返還)制度とは
社員の奨学金残返還額を、企業が日本学生支援機構(通称JASSO)へ直接送金する制度です。
令和5年12月末時点で、全国で1,463社が奨学金返還支援(代理返還)制度を利用しているそうです。
高等教育機関の学生等のうち、32.6%(約3人に1人)が日本学生支援機構の奨学金を利用しています。 (JASSO HPより)
参考:独立行政法人日本学生支援機構「企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度」
制度のメリットは?
大きく分けて4つのメリットがあると言われています。
1.若手人材にアピールしやすい
奨学金を抱えていることの多い新卒・第二新卒等の若手にとって、他社と差別化のポイントになり、売り手が強い採用市場で選ばれる可能性が高まります。
2.離職率の低減
従業員の代わりに企業が奨学金を返還することで長期的な雇用が見込めます。また社員の帰属意識が高まることで、離職率低減の効果が期待できるとされています。
3.企業のイメージ向上
企業のCSR(社会的責任)活動の一環として、本制度の導入は注目されています。
4.税制上の優遇
返還額が経費として認められる場合、法人税を軽減できる可能性があります。
奨学金返還支援制度を利用する場合の課税等の関係
税金面のメリットについてもう少し詳しく確認してみましょう。
従業員(所得税)
本来、企業から受け取る給与には所得税が課税され、源泉所得税として給与の支払い時に差し引かれることになります。
しかし本制度では、企業が直接、日本学生支援機構に送金することで社員自身の通常の給与と返還額が区分され、かつ奨学金の返還であることが明確となるため、その返還額に係る所得税は非課税となり得ます。
これは、通常の給与に加算して支給する学資に充てるための費用で、かつその他一定の要件を満たすものは給与として課税しなくてもよいという法令等によるものです。
参考:国税庁「No.2588 学資に充てるための費用を支出したとき」
企業(法人税)
企業にとっては、代理返還は社員の奨学金の返済に充てるための給付にあたるので、
給与として損金算入されます。また、「賃上げ促進税制」の対象となる給与等の支給額にも該当することから、一定の要件を満たす場合には、法人税の税額控除の適用を受けることができます。
賃上げ促進税制についてはこちら>>>コラム「計画的な賃上げは節税につながる「賃上げ促進税制」」
従業員&企業(社会保険料)
奨学金返還支援(代理返還)による返還金は、原則として報酬に含めません。
標準報酬月額は社会保険料の算定のもととなるため、社会保険料を減らせる可能性があります。
まとめ
従業員側は奨学金返済の負担が減るうえ、所得税も課税されずに済むという点、企業側は通常通り給与として費用を計上できるので法人税の節税につながる点、双方にとってメリットのある奨学金返還支援制度。税金面以外にも人材問題の解決に繋がるポイントがあります。
自社が欲しているターゲット層が若手人材なら、一度検討してみてはいかがでしょうか?
具体的な申請の流れや細かい留意点等はJASSOのHPをご確認ください。
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