さいたま市浦和の会計事務所、中小企業の経営パートナー「税理士法人新日本経営」です。
中小企業においては人材採用が悩みのテーマになることがよくあります。
そういったとき、採用の過程でスキルを持つ人材の入社を促すためや競合他社との差別化を図るために、内定を承諾したものに対して入社契約金を支給する機会はありませんか。
今回は入社契約金を支給した際、インボイス制度において仕入税額控除が認められるかどうか見ていきましょう。
入社契約金とは
優秀な人材を確保するために、内定者に「入社契約金」を支給する場合があります。
これは内定者の転居費用等に充てるものではなく、いわゆる引抜料として支給するものとします。
まず所得税法上と消費税法上での取扱いについて確認しましょう。
この入社契約金は、入社=役務の提供を約束することに対して支給するものであり、所得税法上第204条第1項7号に規定する「役務の提供を約することにより一時に取得する契約金」に該当し、同法上第1項の給与等には該当しないものと考えられます。
消費税法上は、他の者から受けるサービスであって、給与等を対価とするものではなく、その人の事業として提供をしたとした場合に、そのサービスは課税取引となり、課税仕入れに該当します。
インボイス制度との関係
インボイス制度では取引においてインボイスの保存がなければ、原則、仕入税額控除の適用を受けることができません。
また、インボイスはインボイス発行事業者でなければ交付することができませんので、インボイス発行事業者ではない個人に対する入社契約金の支給は、仕入税額控除の適用要件を満たさないことになります。
インボイス制度開始前との比較
インボイス制度開始前の規定では、
「課税仕入れに係る支払い対価の額の合計額が3万円未満」
または
「課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円以上である場合で請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由があるとき」
上記どちらかに該当した場合、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除の対象となっていたケースがありました。
しかし、インボイス制度にはこのような規定はありません。
よって、入社契約金の支給は原則仕入税額控除の対象外となります。
ただ、経過措置により令和8年9月30日までに行う入社契約金の支給は「仕入税額相当額の80%」を令和8年10月1日から令和11年9月30日までに行う入社契約金の支給は「仕入税額相当額の50%」を控除対象とすることができます。
まとめ
優秀な人材を確保するために入社契約金の支給は企業にとって大切な手段のひとつかもしれません。
ただし、支給する際の消費税の取り扱いには注意しましょう。
個人に対する入社契約金の支給は、インボイス制度の規定においては仕入税額控除の適用要件を満たしませんので、仕入税額控除の対象外となります。
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