さいたま市浦和の会計事務所、中小企業の経営パートナー「税理士法人新日本経営」です。
インボイス制度が開始されてからも、国税庁のインボイス制度に関するQ&Aは現在も更新がされています。
制度開始とともに随時改定がなされている中、従業員の出張旅費、宿泊費、日当等についての質問は閲覧回数も多い傾向です。
今回は令和6年4月に追加された従業員に支給する出張旅費等の見解についてご紹介します。
従業員はインボイスの発行事業者ではない
顧問先様よりこのような質問がありました。
「旅費規程に基づいて出張に係る日当を支給しています。勘定科目は旅費交通費として処理をしているけれど、消費税の処理はどのようにしたらよいでしょうか。」
たしかに従業員の方はインボイスの登録事業者ではないためインボイスを発行することができません。免税事業者からの仕入とすると消費税負担額が増えてしまいます。
日当の支給で事務負担を軽減しているのに、消費税負担額が増えてしまっては本末転倒ですよね。
この場合は「出張旅費等特例」が適用され、帳簿のみの保存で仕入税額控除が可能となります。
参考:国税庁「インボイスQ&A問107-2 (実費精算の出張旅費等)」
出張旅費、宿泊費、日当等のうち、通常必要であると認められる部分については、課税仕入れに該当するものとして取り扱われるためです。
摘要に特例の対象であること、「出張旅費」「宿泊費」などを追記するようにしましょう。
旅費規程の定めがない場合は?
では、出張旅費等特例は社内で旅費規程の定めがなければ適用ができないのでしょうか。
名称から誤認が生まれがちですが、旅費規程の有無に関わらず通常必要と認められる部分の支出であれば出張旅費特例の対象となります。
また、その支給方法が日当などの概算払か実費精算かに関わらず、出張旅費等特例の対象となります。
精算時の領収書 消費税の処理はどうしたらいい?
出張から戻った従業員さん。提出してもらった領収書は8%の軽減税率と10%の標準税率が混在していることでしょう。
この時の経理処理はどうしたらよいでしょうか?パターン別に解説します。
例1:出張にかかる日当として支給した場合
この場合、会社は飲食料品の対価として支払ったものではない、という点がポイントになります。
支給した日当のうち従業員が飲食料品の購入に充てたとしても、会社は飲食料品の対価として支出しているわけではありません。そのため軽減税率の適用対象とはなりません。
例2:実費精算の場合
例1に対して、こちらは実費精算という点がポイントになります。
従業員から受領した領収書を基に精算を行う場合、その支払の事実に基づき適用税率の判定を行います。
例3:実費精算で受領した領収書が適格請求書(インボイス)でない場合
出張旅費等特例は一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除ができる、というものになります。
つまりこの例3の場合、出張旅費等特例の対象であれば受領した領収書は必ずしもインボイスである必要はないと言えます。
参考:国税庁「インボイス制度における特例②(出張旅費等特例)」
まとめ
従業員に支給する出張旅費、宿泊費、日当等について、社内で旅費規程の定めがなくても通常必要と認められる部分であれば出張旅費等特例の対象となります。
出張先でのタクシー利用など、支払先がインボイスの登録事業者かどうか従業員の方は気がかりだったかと思います。
帳簿のみの保存で仕入税額控除を行うことができる、ということが示されました。
ただし、これはあくまでも出張旅費に関する特例です。仕入や消耗品等の立替精算の場合はきちんと領収書を回収して精算を行う必要があるため注意しましょう。
また、従業員を介さず会社が直接支払う場合はこの限りではありません。
実際どのように仕訳をしたらよいのか?旅費規程とは?通常必要であると認められる旅費とは具体的にどういったものなのか?給与課税との兼ね合いは?
疑問に思った方は顧問税理士等にご相談ください。
まだ税理士へ依頼していない方はこの機会に顧問税理士を検討してみてはいかがでしょうか。
税理士法人新日本経営のコラムでは今後も最新の税務情報をお届けします。
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