さいたま市浦和にある会計事務所、税理士法人新日本経営です。
適格返還請求書とは、インボイス発行事業者が商品の返品や値引き、割り戻しなどを行った場合に交付する書類のことです。「返還インボイス」と言われることもあります。
各会社によって商品やサービスはさまざまですが、商品やサービスのやり取りや提供前にキャンセルになった場合、返還インボイスの発行は必要となるのでしょうか。
その点について解説をします。
インボイス・返還インボイスとは
消費税の仕入れ税額控除を受けるためには「適格請求書」=インボイスの交付及び保存が必要です。
インボイスは売り手側から買い手側へ正確な適用税率や消費税額等を伝えるための書類であり、一定の記載要件を満たすことで適格請求書として扱うことができます。
参考:国税庁「インボイス制度の概要」
そして、適格請求書の発行後に返品や値引きがあった時は適格返還請求書=返還インボイスの交付が必要になります。
消費税法では「売上にかかる対価の返還等」があった場合と規定されており、
・商品の返品や値引き
・売上値引き
・販売奨励金 などが対象となります。
ただし、その金額が1万円未満である場合には返還インボイスの交付の必要はありません。
参考:国税庁「少額な返還インボイスの交付義務免除の概要」
サービスを受ける前にキャンセルしたら返還インボイスはいらない?
返品や値引き等の「売上に係る対価の返還等」とは消費税法において【事業者が、国内において行った課税資産の譲渡等につき、返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをしたこと】とされています。
これは返還インボイスの交付義務にも当てはまり、課税資産の譲渡等(商品の受け渡しやサービスの提供など役務提供)がおこなわれていることが前提となります。
例えば、セミナーを主催して、参加者へ登録番号等を記載した請求書を発行します。
受講料の入金を受けたが、請求書を発行した時点ではセミナーはまだ開催されていません。セミナーの受講前=役務の提供前であるため、その請求書はインボイスに該当しません。
では、インボイスに該当するかということは参加者が実際にセミナーを受講することで請求書はインボイスとなります。
つまり、セミナー受講前の請求書はインボイスに該当しないため、受講前にキャンセルをしたとしても返還インボイスの交付は必要がないということなります。
この場合、売手(セミナー主催者)は発行した請求の回収や破棄を買手(受講者)に依頼することができます。
実務上、買手が誤って控除しないためにも請求書の回収や破棄を依頼してもよいかもしれません。
なお、商品の受け渡し後の返品、例えば書籍の返品等の場合は、すでに課税資産の譲渡等をおこなっていることになりますので返還インボイスの交付が必要です。
まとめ
返還インボイスについてサービスのキャンセル時の発行有無について案内しました。
サービスの提供前であれば、請求書はインボイスに該当しないので返還インボイスの発行の必要はありません。
キャンセルが商品やサービスの提供の「前」なのか「後」なのかで返還インボイスの必要性が変わります。
請求書発行業務をされている方は必要性に応じて対応できるよう覚えておきましょう。
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