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税理士法人新日本経営コラムシリーズ第3弾「中小企業経営者のための失敗しないDX」の2回目です。
1回目は<こちら>
前回、DXについて
「正直、必要性を感じていない」
「今のやり方で特に困っていない」
と感じている経営者の方が多い、という話をしました。
実は、こうした感覚は日本の中小企業全体を見ても、決して少数派ではありません。
DXは言葉としては広まっていますが、現場レベルでは「まだ遠い話」「よく分からないもの」という位置づけに留まっているケースが多いのが実情です。
では、日本の中小企業のDXは、実際どこまで進んでいるのでしょうか。

データが示す、日本の中小企業DXの現実
日本の中小企業・小規模事業者におけるデジタル化・DXの取り組み状況を、2025年版中小企業白書・小規模企業白書のデータで見ると、「最低限のデジタル化」は進んでいるものの、真にビジネス変革につながるDXはまだ限定的という傾向が明確になっています。
具体的な取り組み段階の調査では、デジタル化の段階1(紙や口頭中心でデジタル化が進んでいない状態)と回答する中小企業は大幅に減少しています。
これはつまり、かつてはアナログ中心だった企業が、少なくとも何らかのデジタルツールを導入するようになってきたことを示しています。
しかし一方で、デジタル化が進んで「業務プロセスの効率化やデータ分析による改善」に取り組む段階(段階3)や、さらにビジネスモデルそのものの変革に向けた本格的なDXの段階(段階4)に進んでいる企業の割合はまだ限られており、DXまで踏み込んだ企業はまだ少数派という状況がうかがえます。
また、売上規模別で見ると、売上高10億未満の企業では約7割がデジタル化の初期段階(段階2以下)にとどまっており、内部業務のデジタルツール導入までの取り組みに止まる企業が多いという傾向も確認されています。
一方で、規模が大きくなる企業ほどデジタル化・DXが進む傾向にあり、一定の規模になると業務効率化やデータ分析といった取り組みが進展する傾向が見られます。
こうした結果を見ると、デジタル化自体は進んできているものの、DXの本質である経営変革まで進んでいる会社はまだ限定的という現状が浮かび上がります。
事例① 製造業:現場は忙しいのに、利益が見えない
ある中小製造業では、受注から生産、出荷までの流れが長年のやり方で回っていました。
現場は忙しく動いているものの、どの製品で利益が出ているのか、どこでロスが発生しているのかを、経営者自身が正確に把握できていませんでした。
在庫管理や生産状況は担当者の経験に依存し、数字として整理されていない状態が続いていたのです。
結果として、「売上は伸びているのに、手元にお金が残らない」という感覚だけが残っていました。
そこで、業務の流れを一度整理し、生産や在庫の情報をデジタルで集約する仕組みを整えました。
特別に高度なシステムを導入したわけではありませんが、数字が見えるようになったことで、無駄な在庫や非効率な工程に気づけるようになったといいます。
このケースでは、DXという言葉を意識したというよりも、「経営に必要な情報を把握するために、結果としてデジタルを使った」という流れでした。
事例② 建設業:工事が終わるまで利益が分からない
建設業では、現場ごとの進捗管理や人員配置、原価の把握など、多くの情報を同時に管理する必要があります。しかし実際には、紙や口頭、個別のファイルに情報が分散しているケースも少なくありません。
ある中小規模の建設会社では、施工管理の多くを現場担当者に任せており、進捗状況や原価、作業内容の把握は「報告が上がってきてから確認する」体制になっていました。
そのため、問題が発生しても把握が遅れやすく、管理部門の負担も大きくなっていました。
既存の汎用システムでは自社の業務フローに合わない部分が多かったため、現場で本当に必要な機能に絞った業務アプリをクラウド上で構築しました。
これにより、施工状況や作業内容、進捗の確認を現場と事務所で共有できるようになり、現場確認のための移動や報告作業が大幅に削減されました。
その結果、現場の管理精度が向上しただけでなく、管理部門の業務負担も軽減され、業務全体の効率化につながりました。加えて、現場の状況を早期に把握できるようになったことで、無駄な作業が減少し、利益率の改善にもつながっています。
現場担当者の残業時間が減少するなど、働き方の面でも効果が現れ始めています。
この事例が示しているのは、建設業におけるDXが「現場と管理をどうつなぐか」という経営課題への対応であるという点です。
デジタル技術はあくまで手段であり、自社の業務に合った形で活用することが、成果につながるDXの第一歩と言えるでしょう。
事例③ 運輸業:「忙しい=利益が出ている」とは限らない
運輸業では、日々の業務に追われ、「忙しさ」と「利益」が結びつきやすい傾向があります。
ある運輸業の中小企業でも、車両やドライバーはフル稼働しているにもかかわらず、利益が思ったほど残らない状況が続いていました。
配車や勤怠、請求管理がそれぞれ別々に管理されており、全体像を把握するのが難しかったのです。
そこで、運行データや稼働状況を整理し、数字として見える形にしていきました。
すると、特定の業務に負担が偏っていることや、採算が合っていない仕事があることが徐々に明らかになりました。
この「見える化」が、業務の見直しや働き方の改善につながっていったとされています。

DXが進む会社と止まる会社の分かれ目
これらの事例に共通しているのは、「最初からDXを目指していたわけではない」という点です。
目の前の課題を解決しようとした結果、デジタルを使う必要が出てきた。その積み重ねが、結果としてDXにつながっています。
また、統計データを踏まえると、日本の多くの中小企業はデジタル化の入り口までは進んでいるものの、ビジネスの根幹まで変革する本格的なDXに取り組めている企業はまだ限定的であるということが分かります。
データとしては、デジタル化段階の最上位である「段階4(変革としてのDX)」を実現している企業が全体の数%台という指標が示されており、大多数はまず基礎となるデジタル化段階で足踏みしているという現実が浮かび上がっています。
その一方で、統計でも示されているように、デジタル化が進んでいる企業ほど「効果」を実感している割合が高く、売上や生産性、人材面での改善を感じている企業の割合が大きいという傾向もあります。
これは、単なるデジタルツールの導入ではなく、経営課題を解決するためにデータを活用していく過程が進んでいる企業に見られる特徴と言えるでしょう。
◆第1回:DX|DXとは何か?中小企業経営者が最初に知っておくべき本当の意味
◆第2回:DX|日本の中小企業のDXはどこまで進んでいるのか
◆第3回:coming soon・・・
◆第4回:coming soon・・・
◆第5回:coming soon・・・
参考:SME Digitalisation to manage shocks and transitions|OECD
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